尊すぎる『翻訳できない 世界のことば』感想
こんにちは、日本語を話して16年目くらいのめたくZhangです。
今回は、『翻訳できない 世界のことば』という本を呼んで感動したので、皆様にも知ってもらいたく感想を綴ります。
著者は、エラ・フランシス・サンダースさん。エラさんはさまざまな国に住んだことがあり、フリーでイラストレーションの仕事をされているそうです。この本の挿絵も彼女が担当しています。
私は英語が大の苦手で、作文を書くときなどはいつも翻訳に頼っているのですが、時々、翻訳できない日本語に出逢うことがあります。例えば『侘び寂び』日本人でも意味を述べよと言われれば悩みますよね。それは、「侘び寂び」は何か一つのものを表す言葉ではなく、独特の感性だからでしょうか。調べてみると、
「侘び」とはつつましく、質素なものにこそ趣があると感じる心のこと。 一方、「寂び」とは時間の経過によって表れる美しさを指します。
と、出ます。つまり侘び寂びとは「普通なら避けるような古く質素な建物などにしか存在しない美しさ」ですかね。他言語にはこれと同じ意味の言葉は無いので、Google翻訳すると…
わさび??何故わさびなんでしょうか…とにかく、適切な言葉は出て来ません。これが「翻訳できないことば」ということです。
その「翻訳できないことば」を、エラさんは持ち前の瑞々しい感性によって説明されています。エラさんにとって「侘び寂び」は
生と死の自然のサイクルを受け入れ、不完全さの中にある美を見出すこと
らしいです。私が説明した「普通なら避けるような古く質素な建物などにしか存在しない美しさ」より断然こっちの方が奥が深いし、「侘び寂び」の広がりが表現されていて本来の意味にマッチしています。エラさんすごい。さらに、横のページにはこんな文が。
うつろいと非対称性をくらしの中に受け入れるとき、私たちはつつましく、満たされた存在になりえます。
なるほど。新しく完全なものだけでなく、不完全で未完成なものも受け入れることで、慎ましくなれるという「日本人の奥ゆかしさ」がよく表現されています。
この「侘び寂び」一つとっても素晴らしいですが、『翻訳できない 世界のことば』ですから、もちろん世界各国の「侘び寂び」のような奥深い言葉が並んでいます。その中から私が面白いと思ったものを抜粋します。
HIRAETH
帰ることができない場所への郷愁と哀切の気持ち。過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても。
切なくて悲しいけど、どこか美しい言葉ですね…小学校のことを思い出しました。帰りたいなぁ、あの場所に…
BOKETTO
ボケッと 日本語 形容詞
なにも特別なことを考えず、ぼんやりと遠くを見ているときの気持ち。
こちらは日本語です。忙しい日々の中でも、ボケッとする時間、大切にしたいですね。
DRACHENFUTTER
ドラッヘンフッター ドイツ語 名詞
直訳すると、「龍のえさ」。夫が、悪いふるまいを妻に許してもらうために贈るプレゼント。
怒った妻を龍に例えています。火を吹く龍をそんなプレゼントで手懐けられるかな…?
PISAN ZAPRA
ピサンザプラ マレー語 名詞
バナナを食べるときの所要時間。
人によってもバナナによっても違いますが、大体2分くらいでしょうか。日本語で言う「その間にカップラーメン作れるわ!」みたいな感じ?違うか。
他にもポジティブな言葉から怖い言葉、笑えるものまでさまざまな「翻訳できない世界のことば」が載っています。そして何より、イラストが素敵!あと思ったのが、その言葉を調べて本にしたのすごくないですか?現地の人しか知らないような、しかも曖昧なものも多いのにこんなにその言葉の素晴らしさを表現できていて面白いですよね。
皆さんもぜひ、『翻訳できない 世界のことば』を読んで、日常で使ってみてください!
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